皆さんこんにちは!
理学療法士のKです!
『まだ50代なのに歩くと膝が痛い』
『変形はしていないのに膝が痛い』
『膝が腫れてきて曲がりづらくなっている』
変形していないのに、痛みが出る50歳代の膝痛…
最近そのような膝に対して早期変形性膝関節症という病態が関わっている事が報告されています。
今回はあまり聞きなれない、早期変形性膝関節症について解説致します。
変形性膝関節症
膝関節は、軟骨で覆われています。しかし、年齢とともにこの軟骨は摩耗し、劣化していきます。劣化した軟骨は、膝関節の骨同士が直接摩擦し合うことを意味し、それが痛みとなります。さらに、軟骨の劣化に伴って、炎症が生じ、痛みを増幅させます。
国内で変形性膝関節症の患者数は、自覚症状を有する患者数は約1,000万人、潜在的な患者数は約3,000万人と推定されています。
変形性膝関節症グレード
一般に変形性膝関節症の重症度はKellgren-Laurence分類(以下KL分類)でグレード分けされています。
KL分類は主に関節軟骨の減少具合と骨棘(こっきょく)の有無で重症度を1から4までに分けられています。
グレード2以降が変形性膝関節症と診断される基準で、グレード2が初期、3が進行期、4が末期となります。
関節の隙間には軟骨があり、軟骨がすり減ることは、症状の悪化を意味します。
早期変形性膝関節症とは?
では早期変形性膝関節症の基準はどのようなものでしょうか?
様々な定義が現在議論されていますが、
① レントゲンに異常がない
② 膝関節に痛みがある
この2つが当てはまる方が早期変形性膝関節症の可能性があります。
ちなみに男女比では男性が10%、女性が15~20%の方が発症していると報告されています。
『レントゲンで問題が無いのに何で痛いの?』と思われる方も多いと思いますが、膝の痛みには様々な組織が関わっている事が報告されています。
早期変形性膝関節症はなぜ痛い?
早期変形性膝関節症の痛みには以下の3つが関わっている事が報告されています
【① 軟骨下骨の変化】
軟骨の下にある骨(軟骨下骨)にダメージが加わり、微細な骨折や出血、浮腫が生じ、痛みが発症することがあります。
半月板が変性したり、体重のかかり方が集中したりした結果、軟骨下骨に負担が生じると言われています。
【② 半月板の変性と位置異常】
半月板は膝関節の中で大腿骨と脛骨の間にあるクッションのような組織で、関節に加わる体重の負荷を分散させたり、関節の位置を安定させたりする働きをしています。
半月板が変性、断裂をすると本来の位置から移動し、関節の内側に逸脱すると言われています。
半月板が逸脱することで関節の組織を刺激し、痛みや炎症が起こる原因となります。
また半月板の逸脱があると、変形性膝関節症の発症と進行のリスクが高くなると言われています。
【③ 滑膜の炎症】
滑膜とは関節包を覆っている薄い膜状の組織のことで、関節内の潤滑油となる滑液を作り出す組織です。
滑膜の炎症は先ほどの半月板の逸脱や、仕事、スポーツなどで膝をたくさん使うことで発症します。
滑膜に炎症(滑膜炎)がおこると関節内に水が溜まり(水腫)、痛みの原因となります。
また滑膜炎が起こると、変形性膝関節症が進行する可能性が指摘されています。
どうやったらわかる?早期変形性膝関節症
レントゲンでは骨しか映らないため、関節内の詳しい状態をチェックするためにはMRIの撮影が必要になります。
膝の痛みや腫れが続く場合は早めに医師に相談をしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
記事監修 理学療法士 K
整形外科クリニックに勤務し肩、膝を中心に延べ9万人以上のリハビリを担当
サッカーチームにトレーナーとしても帯同中